早期死体現象 法医学

早期死体現象と法医学

早期死体現象には、体温変化・角膜の混濁・死後硬直・死斑などがある。

体温変化

一般的に死亡後、数十分は体温が維持されるが、 その後、外気温の温度を受ける。 直腸で測定され、死亡後1時間あたり10時間までは1℃、 その後、0.5℃ずつ低下してゆくと考えられているが、 実際には様々な要因によって大きく変化する。 また、発熱性疾患による死亡、頭部外傷、脳出血、中毒死 の際には体温が高温になることがある。

角膜の混濁

死体の水分の蒸発、変性によって角膜には混濁が起こる。 混濁が始まるのは12時間後、強い混濁は 1〜2日後に起こる。 混濁には水分の蒸発が大きく関わっているので、 目の開き方や、温度などによって左右される。

死後硬直

死亡後、死体は弛緩、硬直、弛緩という経過をたどる。 変化の原因としてATPの現象による筋肉の変性であると考えられている。 そのため、死亡以前からATPが少ない場合(スポーツなど)には この硬直は早く出現し、筋肉量・部位によっても変化し、 熱による熱硬直、寒冷下では凍結硬直もみられる。 硬直は通常、1時間程度で発現し、二日前後で解けると考えられているが、 実際には気温などの条件に左右され、 動かした場合などには時間が早まる場合などがある。

死斑

死斑は血液の流れが止まった後に、 赤血球が重力によって体の低い方に流れ、 皮膚を通して観察される現象で、 死亡後、数十分〜1、2時間後に始まり、 8〜12時間後に完成する。 死斑完成前に死体の向きを変えると新しい部分に 死斑が現れ、元の死斑は転移、または 両側性死斑として薄くなって残る場合があるが、 さらに時間が経過すると死斑の転移は起こらなくなる。 死斑の出現時間などには、個人差や環境が大きく 関係しており、窒息死体では、死斑発現は早く、 程度も強いが、失血や貧血などでは死斑の発現は遅く、 その程度も弱い。 また、浮遊死体では、死斑は弱いか、無い場合もある。 また、死斑の出現、完成以外にもその色などによっても 様々な推定を行うことが出来る。 例えば死斑の色が鮮やかな紅色をしていた場合には(通常は暗・紫赤色)、 一酸化炭素中毒や、凍死などが疑われる。 これらの様々な特徴によって、死斑は死亡推定時刻だけではなく、 死亡体位、変換などの推定に用いられている。


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