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タイムトリップ理論

不思議捜査官:熊川
理論から探るタイムトリップと時間の不思議な概念。
簡単な概要を扱った「タイムトラベルは可能か?」もお楽しみください^^
1、光速(光速度)は有限かそれとも無限か?(歴史)
そもそも光というのは、とてつもなく速いので、光速度を計ることはすごく難しいことが想像できる。 そのため長い間、光速は無限大であるという「瞬間伝播説」が多数派だった。 やがて哲学的な思索の時代は去り、多くの研究者が光速度を計ろうと試みた、 そしてついに光速度が有限であることを発見した。 1676年にデンマークの天文学者、オーレ・レーマーが発見したのである。 彼は、木星の公転面も、木星の衛星・イオの公転面も、地球の公転面とほぼ同じ平面にあるために、 衛星が木星の周りをまわるにつれ、木星の背後に隠れて見えなくなる現象、食(日食の類)をおこす という現象を利用した。イオの公転周期は42.5時間なので、光の速度が無限大なら食も同じ 周期で起こるはずであるのだ。 しかし、観測の精度が良くなるにつれ、食の始まりの時刻にずれが生じることがわかってきた。 しかもそのずれは、太陽の周りを公転している地球の位置によって異なっていた。 地球がイオから一番近いところAでは、真ん中Bの位置から11分速く逆に一番遠いところ CからだとBの位置から11分遅れて始まっていたのだ。(図1)
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当時、パリ天文台にいたレーマーは、精密な観測によってこの"ずれ" の時間を確かめ、ずれが生じる原因は光速度が有限であるためであると推測していた。 (結果、実際の速さより9万キロ遅い秒速21万Kmと小さめに出たのだが) さらに1728年には、イギリスの天文学者ジェームス・ブラッドリーが 「光行差」という現象を用いて、次の方法で光速度を求めている。 地球は太陽のまわりを公転運動しているが、太陽に対する半径の円を一年 で一周するので計算するとその公転速度は秒速30万キロになる。 そしてある方向に見える星を観測したとき、もし光速が無限大なら、 星の見える方向は、地球に公転運動に伴う観測者の運動によらずに、常に同じ方向で見える。 しかし、もし光速が有限なら、星の見える方向は、観測者の運動ベクトル分だけずれて、 地球の運動方向前方に少し移動して見えるはずだということになる。 これは、雨の中、傘をさして歩いているときに、立ち止まっていれば雨が真上から 降っている場合でも、歩いたり走ったりすれば、 雨が斜めから降ってくるように見えるのと同じようなものである。(図2)
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そして、様々な科学者により計算や実験などが積み重ねられ、 実際の光速度、秒速29.9792458万Km(約30万Km)という光速度が求められたのである。

2、光の正体〜粒子説VS波動説!
次は光の正体に迫ってみる。 光の正体については、先ほど述べたレーマーが光速度の有限性の示した頃には、ニュートンの粒子説と、ホイヘンスの波動説が対立していた。ニュートンは光が直進したり反射したりする性質を理由に、ホンヘイスは光をぶつけ合っても衝突しないことを論拠として、議論しあっていた。 その後、19世紀に入ってトーマスヤングによる光の干渉実験やオーギュスタン・フレエルによる光の回折の実験などが行われ、それらの結果から、波動説が優勢になってきた。そして1864年、ジェームス・クラーク・マクスウェルが、それまでばらばらだったいろいろな法則、ファラデーの法則やアンペア法則などの電気・磁気の法則を統合し、電磁気学を完成させて、それをもとに光の正体に迫った。

マクスウェル方程式は数式で表すのは難しいので言葉で表す。
1、電荷のまわりには、他の電荷に影響を与える力の場(電場)が存在する。
2、(単独の磁荷は存在しないが)磁極の間には磁気の場(磁場)が存在する。
3、電荷が移動して電流が流れると、そのまわりに磁場が生まれる(アンペアの法則)。
4、磁場が変化すると電流が生じる(ファラデーの電磁誘導の法則)。
 
つまり、小学校や中学校でやったことなのだ。それを数式になおしただけなのである。 そして、マクスウェルの完成した電磁気学は、それ以前には予想もされなかった新しい結論をいろいろもたらした。その中でも最たるものが電磁波だ。すなわち、物質も電荷も何もない状態で、電場と磁場を少しだけ揺るがせると、電場や磁場の微小な揺らぎが波動となって伝わることがわかった。これが電場と磁場の波・電磁波なのである。 しかもなんと驚くべきことに、マクスウェル方程式から導いた電磁波の伝わる速度は、光の速度に一致したのである。そこで、マクスウェルは、電磁波こそが光の正体だと断定した。 今日では、人間の目に見える光、可視光線は一部で電波・赤外線・紫外線・X線・γ線まで、さまざまな波長の電磁波があることがわかっている。(図3)
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このような電磁波は、波長・振動数が異なるだけで伝わる速度は光速に等しいのである。 そして、光すなわち電磁波が伝わるときは、電場の変化が磁場を生んで、生まれた磁場の変化が更なる電場を生むという風に、電場・磁場が交替に生成していく事がわかったのである。

3、光速度不変の原理
かの有名なアインシュタインは考えた。  「もし飛んでゆく光の矢を、光速で追いかけたら、光の矢はどう見えるだろうか?」と もし隣り合っていて時速70Kmの電車同士なら、止まって見えるだろう。 しかし、光の場合は果たして、同じ速度・光速で追いかけたとしたら、 まるで同じ速度で走る電車を横から見るように、静止した振動している電磁場としてみえるのだろうか? アインシュタインは否定した。マクスウェルの電磁場方程式から考えてもそんなことはありえないはずなのだ。 ではどう見えるのか?それは光はどのような速度から見ても光は光速でなければならない。 そうアインシュタインは考えた。これが有名な光速度不変の原理である。


はたして過去・未来には行けるのだろうか!?
引き続き「タイムトリップは可能か!?(続編)」をお楽しみください。