物体検査(血液) 法医学

物体検査(血液)

血液中の赤血球は無核だが、白血球は遺伝情報を有しており、 それぞれ様々な情報を提供する。

血痕の形

血痕の大きさや形によってどのように犯人が移動していたのか等を 推測することが出来る。 例えば歩行していた際には進行方向に点状血痕がみられる (血痕の形で、点状血痕の方が進行方向であることに注意)

血痕の証明

例えば、犯人が血痕を隠すために 乾いた雑巾で完全に拭き取った場合に、それで解決したと思うだろうか…、 実際には、血痕を拭き取ってもルミノール反応、ロイコマラカイト緑法 などが用いられ、血痕は暗闇の中でその姿を現す。 しかし、ルミノール反応などは血液以外でも反応することがあるので、 本当に血液に反応しているのかを確認する必要がある。 そのため、ヘモクロモーゲン結晶法、クロール・ヘミン結晶法、スペクトル分析、 血球検査などが本試験として用いられている。 また、ヒトの血である証明をするために、 人血試験、血液型試験、DNA型試験なども用いられる。

血痕からの性別判定

血痕から性別判定を行う際には、 現在ではDNA分析で正確に判断が 可能となっている。 また、塩酸キナクリンでY染色体を染色したり(男性XY、女性XX)、 染色した変化などを観察する方法なども確立されている。

血痕からの血液型判定

血液型には ランドスタイナーが発見したABO式血液型 や、その他にも様々な分類による血液型がある。 血液型判定は抗体を用いた 方法などがあるが、試料が少ない場合には他の方法も用いられている。 血液型判定に当たっては、血液が付着している所以外の 周囲にも気を配り、本当に血液の"血液型"か確認する必要がある。 それは、血液以外の、その血液の底部などに存在する 植物や様々な物体がABO式血液型に反応してしまう場合があるためである。

汚染された血痕

血痕が混合血痕、土砂、 などの汚染物質にさらされてしまった場合には、 水、アセトン、エーテルなどで処理される。 混合血痕では、片方の血液型が証明され、一方も証明された 場合には他方の型であると判断される。

血痕からの成人血、胎児血、妊婦血の証明

血痕から、その血液が成人・胎児・妊婦血であるかどうかを判断することが出来る。 胎児血では、抗ヒトα−フェトプロテイン血清で陽性、 成人血では陰性を示す(原発性肝癌の患者の血清は陽性)、 また、婦血の証明をするには絨毛性性腺刺激ホルモンを検出 する方法や、耐熱性アルカリホスファターゼを検出する証明法なども存在している。


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