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免疫

担当:長官
人体〜それは自然が与えた最高級の軍事基地〜
序章

私達の体は常に警戒を怠らない24時間体制の軍事基地に例えられる。 例えば、動物が死亡した時にはどうなるだろうか。 細菌は侵入を開始し、 数十分後には様々な昆虫が集まり、数日後には変わり果てた体になっている。 中には免疫力が弱く、病気にかかりやすい体質の人もいるが、 私達は通常、進化の段階で第一級の防御力が与えられている。 また、私達の体は細菌などの微生物だけでなく、自身の"基地"も監視している。 今回は、免疫という人体に関するミステリーを実際の軍事基地に見立てて紹介してゆく。

第一章.監視「敵を排除せよ」

実際の軍事基地で、敵の早期発見は勝敗に大きく影響する。 体という軍事基地も同様だ。 では、どのように仲間を区別しているのだろうか。 敵は微生物だけではなく、様々な毒素や紫外線など、 実に多種多様である。 そのため、仲間を認識することが効率が良い方法となる。 敵を排除する免疫系の部隊は仲間を認識出来るようにトレーニングされる。

第二章.体の軍事基地の全貌

二章では体の軍事基地の全貌をレポートする。

基地の壁「皮膚」

(C)映画 TROY

「トロイの木馬」で知られるギリシアの戦争のように歴史を振り返ってみれば その城壁の意味の重大さに気づくだろう。 城壁は非常に重要で、破壊された場合には一気に 敵が進軍してきてしまう。体という防衛基地では この皮膚がその城壁の役割を担っている。 この皮膚があるからこそ、細菌や紫外線などが 体に致命的な攻撃を加えることが出来ないのだ。 火傷、擦り傷などによって、この皮膚が破壊されると一気に体は侵略されてしまう。

基地の運搬ルート
戦争の勝敗を決める理由として物資の運搬が大きく影響している。 運搬がうまくいかなければ士気も下がり、場合によっては敗北してしまう。 当然、体という基地にも物資が運搬される。 そのため、「鼻、口、肛門」などは空気、食物が通れるように 開いている。当然、敵はこの弱い部分を攻撃してくる。 しかし、体(基地)はこの部分を"がら空き"にしているわけではない。 咳などの反射によって細菌を排出し、 武器、兵隊(IgA、リゾチームなど)が特に配備されており、 進入されても強力な酸が溜め込まれている胃で細菌は殺される。

基地に配備された軍隊
基地には様々な軍隊が配備されている。以下に主要な一部を挙げる。

少しの変化も見逃さない「マクロファージ(貪食細胞)」
"基地"の様々な場所に配備されており、怪しいと思った敵を攻撃する(食べる)、 また、司令官(ヘルパーT細胞)に連絡し、敵が強い場合には特殊部隊の要請も行う。

大量に配備された軍隊「顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)」
この軍隊も主にマクロファージと同様の配備、働きがされているが、 兵隊の数がマクロファージの10倍以上も存在している。マクロファージ、顆粒球が死亡すると膿となる。

内部反乱者を発見し、未然にテロを防ぐ「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」
ナチュラルキラー細胞は"基地"内を巡回し、ガン細胞などの内部反乱者を発見し攻撃する。 また、反乱者が多い場合などには特殊部隊などの要請も行い、戦っている。

火器を利用して敵を弱める「炎症と発熱」


(C)The Human Body in Health and Illness

炎症と発熱は細胞そのものではなく、仲間の細胞が 放出した物質によって起こる。このような現象は自分達を活性化し、 仲間をパワーアップさせ、敵を弱めている。

ライフルで相手を仕留める特殊部隊「B細胞」
基本的には"彼ら"は強い敵が現れた時に、司令官(ヘルパーT細胞)から伝令を受け、 敵の情報を確認し、ライフルで抗体と呼ばれる弾丸を発射し、相手の弱点を狙撃する。

特殊部隊、B細胞がさらなる訓練を重ねて選ばれた最強の特殊部隊「T細胞」
特殊部隊であるB細胞が胸腺というトレーニング場で 厳しい訓練を終了したうちの、ほんの一部だけが最強の特殊部隊 であるT細胞(胸腺 thymusに由来)になる。 T細胞にも様々な分担があるが、司令官にあたるのが ヘルパーT細胞で、様々な兵士に命令を下す。 また、戦闘が強いものはキラーT細胞になる。 このキラーT細胞は接近し、強力な攻撃をしかける最強の特殊部隊で、 ガン細胞すらも仕留めることが分かっている。


体の基地の組織図、巧みな攻撃…
引き続き「免疫(続編)」をお楽しみください。