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法医学

担当:長官
注目を浴びる法医学、法歯学と、それを支える人体のミステリー!!
法医学が分かる「法医学の窓口」もご覧下さい。

序章.法医学と人体のミステリー

法医学や、科学捜査はテレビや小説などで よく出てくるようになり、有名になったが、 100年前までは指紋照合、15年前にはDNA照合は存在しなかった。 これらは現在の事件解決において重要な証拠を提供している。 近年は、日本でも裁判で一般人を参考にする陪審員制度なども検討されている。 これは、客観的な判断が出来るというメリットなどと同時に 危惧される心配として陪審員が科学捜査の内容を理解しようとせず、 それによる冤罪などの危険性も秘めている。 今回は、そんな法医学の世界の一部を垣間見てみよう。

第一章.法医学・法歯学とは…

法医学や法歯学は医学的な法律上の問題を研究し、 解決を導くことを目標に行われている。 それらの学問の一部で特に一般的に知られているのは 犯罪と関係した法医学である。 法医学は全ての医学部に設置されており、 法歯学は一部の歯学部に設置されている (日本大学歯学部、東京歯科大学、神奈川歯科大学)、 また、法医学に関しては法学部でも一部、裁判に 関係ある内容を扱っている大学も存在する。 法医学、法歯学は隔離された学問ではなく、 法医学の一部として、口腔周辺を専門に 扱う法歯学が含まれている。

第二章.法医学と人体のミステリー

法医学は先ほど簡単に紹介した通り、 実際には法律的な問題全般を扱うのであって、 ほとんどの人がイメージするような死体に残された証拠から 犯人を探すという内容が全てというわけではなく、 他にも様々な事が行われている。 今回扱うのはその中でも特に「法医学と人体のミステリー」 という観点から少しその不思議に触れてみたい。 人体は60兆もの細胞から成り立っており、 それらが互いに協力して人体の構造と機能を維持している。 また、人体には地球が形成されてから現在に至るまでの進化の 歴史が刻まれている。 そのため、受精卵から胎児になるまでの間には"水かき"など 進化の形態の一部を垣間見ることが出来る。 最近では海外だけでなく、日本でも白骨化した死体など が発見されることがある。 これらの白骨化した死体はトレーニングを 積んでいない人が見ただけでは全てほとんど同じに感じられ、 個人を特定出来ないだけでなく、男女の判別も判断することは出来ないだろう。 しかしながら、今回扱う「法医学と人体のミステリー」 という観点からだけでも、その謎に関する答えの一部は あたかも氷が溶けるように少しずつ姿を現してくるのだ…

第三章.人体のミステリーは身近で大きな謎

「以下のこれらの数々の証拠は現場が保存されていた時に初めて効力を発揮する」

この章では今回の中心である「法医学と人体のミステリー」 ををそれぞれ 紹介していく。人体に隠された不思議に触れ、 法医学の一部の世界に触れてみよう。 この章を読み終えた頃にはドラマの中でさえも 新たな発見があなたを待っているかもしれない。

死亡時刻「死後硬直と死斑」
死亡すると下顎、頚から下半身に向けて死後硬直が始まる。 気温など様々な条件により異なるが、 一般的に死後約12時間で全身が硬直し、 36時間経過すると硬直がとけてゆく。 また、死斑が皮膚に現れる。 これも同様に死亡時刻を割り出すのに利用される。 また、ピンク色なら一酸化中毒といったように 死斑の色によって死因の可能性も見出すことが出来る。 他にも死亡時刻を割り出すために胃の残留物の検査などの方法がある。

現代科学の象徴「DNA」


現代科学の象徴として DNA(デオキシリボ核酸)は取り挙げられる。 先ほど述べたように人体は細胞が60兆個集まって構成されている。 その細胞の中には核があり、その中には遺伝情報を司る DNAが含まれている。DNAは二重らせん構造をしており、 そのほとんどの部分は遺伝情報ではなく、 意味を持たない部分で構成されており、 その意味を持たない部分は 個人差がとても激しい。 そのため、その部分を利用して個人が特定されている。 法医学は肉眼では見えないこのような小さなミクロの世界とも大きく関係しているのだ。

体の基礎である「骨」
白骨化した死体で骨だけしか残っていない…、 また、全ての骨が発見されるとは限らず、 一部の骨しか発見されない場合もある。 これらの場合、一般の人では 個人を特定するどころか、性別すら判断することは出来ないだろう。 しかしながら、法医学者や人類学者などは 頭蓋骨、骨盤などから性別を判断したり、 一部の骨から身長や年齢を予測したりすることが出来る。 頭蓋骨ではその大きさ、隆起の大きさなどから性別が判断されている。 砂漠などで発見された白骨を自分の舌 と接触させて吸い付くかどうかという簡易テストがある。 舌にくっつく場合にはカルシウムが残っているので死後50年以内と推測される。

事件現場に残る「血液、血液型」


ルミノール反応で血痕がその姿を現す

血液には様々な情報が含まれており、 血液を探すことは重要であるが、 犯人が証拠を隠滅するため拭き取る可能性もある。 しかし、拭き取って全く見えない状態でも ルミノール反応を用いることで血痕は青白く光り、その姿を現す。 発光というとホタルのルシフェリンを想像するかもしれないが、 これは酵素の働きで蛍光を発する。 血痕の形はどのように凶器が用いられたかという情報も提供している。 血液型としては様々な分け方があるが、 その中で一般的に知られているのは ABO式、Rh式血液型である。血液型は遺伝と関係しているので 父、母の血液型からどのような血液型がどれ位の割合で産まれるのかが分かる。 DNA採取の場合、 血液中のDNA量が赤血球が無核なので口腔粘膜上皮で行われる。 また、現場に残された微量の血痕や、 被害者を引っ掻いた時の犯人の上皮組織などは、 以前は検査・特定出来なかったが、 現在ではPCR法によってDNAを大量に複製できるので、 遺伝情報を司るDNAを割り出し、これが犯人を特定する大きな手がかりになる。

事件現場に落ちる「毛髪」
髪は皮膚が角化して変化したもので、人間の髪は 約10万本、一日に50本程度抜けると言われている。 髪の毛も遺伝の影響を強く受けており、 髪質などは一生変化することは無い。 そのため、法医学が関係する長期的な事件解決の際にも大きな証拠となる。


犯人の顔、唾液、利き腕…、様々な証拠が物語る…
引き続き「法医学と人体のミステリー(続編)」をご覧下さい。