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不老不死

担当:長官
不老不死〜ヒトは神になれるか〜
序章

世界一の長寿国「日本」、 近年、寿命は格段に上昇している。 寿命が延びた要因としては遺伝的に 変化しているとは考えにくく、医療や公衆衛生などの 環境の向上が大きな要因だと考えられている。 しかし、環境がいくら向上しても限界があり、 寿命は110〜120歳位が限界であると考えられている。 今回は、寿命、そして不老不死の謎に迫ってゆく。

第一章.不老不死という魅力


映画:インディ・ジョーンズ「最後の聖戦」で、
聖杯伝説の舞台にもなったペトラの「エル・カズネ」

誰もが一度は不老不死について考えたことがあるだろう。 不老不死について考えた時、 生命という灯火がいつか消えるという ことを知り、だからこそ限りある人生を有意義なものにしたいと考えるのだろう。 歴史を振り返っても不老不死を求めた人物は多く存在する。 その中でも聖杯伝説、秦の始皇帝、錬金術などはよく知られている。 しかし、彼らの夢は実際に実現することは無かった… 次章では老化の原因について紹介してゆく。

第二章.老化の原因とメカニズム

なぜ老化し、衰えるのか…、 その謎が明らかになると…

中毒説
老化は代謝などによって有毒な物質が蓄積した結果であるという仮説。 仮説が正しければ、有害な物質を特定し、 阻害する薬を作ることによって不老不死が実現可能となる。

消耗説
人体を構成している細胞が消耗することによって老化が起きるという仮説。

遺伝子プログラム説
遺伝子にあらかじめ寿命がセットされているという仮説。 関心を集める仮説の一つで、その遺伝子を操作することによって 不老不死が実現する可能性があると考えられている。

DNA誤複製化説
細胞が分裂する際のDNA複製に失敗し、その結果、寿命が制限されるという仮説。

第三章.寿命と様々な関係

動物全般と寿命という大きなスケールで考えてみよう。 「100歳の人間」はよく聞くようになってきたが、 「100歳の犬」ということは聞いたことが無い。 これは動物の種によってある程度寿命が決まっていることを意味している。 これは不老不死の謎を解く上で非常に重要な"キー"になるかもしれない。 ここでは、寿命と関係する要因を挙げてみよう。

負の相関 「子腹数と寿命」 「代謝率と寿命」

正の相関 「性成熟期間と寿命」 「胎児期の時間と寿命」 「体重、脳の質量と寿命」

上記を見ていただければ分かるように 寿命は他の要因と大きな関係がある。 そのため、脳や体重の質量が大きく、子供が少ない動物などの寿命は長くなっている。

第四章.不老不死〜死なない細胞〜

生命の灯火が消えるとき…、 それは人体を構成する60兆個の細胞の停止も意味している。 ならば、個体というスケールではなく、 この小さな細胞の寿命はどうなっているのだろうか。 実は細胞を培養すると、分裂の回数には制限がある。 これは「ヘイフリック限界」と呼ばれている。 これは、動物が老化するのは脳などのある一定の期間から 寿命の情報が発信されているわけではないということを意味している。 小さな一つ一つの細胞自体が

「ある一定の期間で"死亡"する」

ということを意味しているのだ。 原因は先ほど紹介したようにあらかじめ 「遺伝子にプログラムされている」、 「有毒な物質が蓄積する」という仮説などが提唱されている。

このように正常な細胞は分裂回数が決まっていて"死亡"する。

しかし、この例外がある…

「ガン細胞」

ガンといえば、ほとんどの人が聞くだけで 恐怖する言葉である。 ガン細胞が研究者に注目される理由として 「死なずに永久的に増殖する」という特徴を持っている ということも関係している。 ガン細胞はまさに不老不死の細胞なのである。 では、なぜガン細胞はヘイフリック限界が無いのだろうか。 その原因を突き止める研究が行われ、あることが明らかになった。 通常、細胞が分裂する際にDNAの複製が行われるが、 この際、少しずつDNAは短くなってゆく。 しかし、ガン細胞はDNAが短くならずに元に戻るのだ。 正常な細胞は分裂によってDNAが短くなり、ある一定の 短さになると死ぬようにプログラムされているという仮説は先ほど紹介したが、 なぜガン細胞は分裂の際にDNAが短くならないのだろうか…

「テロメアーゼ」

ガン細胞のDNAを複製する酵素はこう呼ばれている。 つまり、もし正常な細胞がDNAが短くなると死ぬように プログラムされているという仮説が正しければ、 このテロメアーゼをうまく利用し、制御することによって 寿命がコントロールできるようになるかもしれないのだ。

最終章.不老不死〜ヒトは神になれるか〜

不老不死…、この言葉は 少なからずヒトを引き付ける。 老化し、死ぬのはなぜか。 進化論的に考えればそれは種の存続のため、 より適した性質を持つ生物を後世に残すため。 また、アメリカなど進化論を信じるものが人口の半分程度しか いない国のある者はこう答えるだろう。 「ヒトは神を超えてはならない」、 ヒトが永遠の寿命を手に入れる…、 私はこれが良いことなのか悪いことなのかは分からない。 しかし、ただ一ついえることは この先、老化のメカニズムが解明され、不老不死を実現する可能性は 十分に考えられるということだ。 私は神の実在を信じていないが、 こう締めくくりたい。 「神はそれを許すかと…」
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